2025.08.22
【日本フィルハーモニー交響楽団 第26回相模原定期演奏会/特別インタビュー】古海行子(ピアノ)
この度ソリストを務める、相模原出身の新進気鋭のピアニスト古海行子さんに
相模女子大学グリーンホール・大ホールにて特別インタビューを行いました。
その様子をお届けします!
古海行子(ピアノ)

―地元である「相模原」、そして「相模女子大学グリーンホール」について
一言で表すなら、「ふるさと」ですかね。やっぱりいつでも自分のベースはここにあるというか。リラックスできる、自然体でいられる場所だと思っています。グリーンホールには、昔から、学校の合唱コンクールや幼い頃に習っていたバレエの発表会などで訪れていました。
―地元での公演ということで、やはり特別な気持ちや感覚はありますか?
気持ちは全然違いますね。良い本番になるという確信めいた予感があります。地元の雰囲気に助けてもらえるのでは、と。やはり、私のアイデンティティの基はここにあるので。そういうものを2年前のリサイタル(2023年12月20日「午後のうるおいコンサート」)でも感じました。
―グリーンホールは今年開館から35周年を迎えました!
35周年!(ホールを見回して)全然そうは見えないですね!私が生まれた時には、もう既に自分のすぐ近くにあったホールなので、とても感慨深いですし、嬉しいです。おめでとうございます。

―今回、日本フィルの相模原定期でソリストとして演奏することについて
日本フィルさんとはピティナのコンクールのファイナルの時に、ラフマニノフの協奏曲をご一緒させていただきました。また今年の10月にも公演を予定しています。2か月連続でご一緒することはなかなかないので、驚きました(笑)
日本フィルさんは、フレキシブルな印象ですね。安心感があるというか。ゆとりや余裕があるので、ご一緒しやすいです。
―今回演奏される、グリーグのピアノ協奏曲について、選曲は自身で?
選曲は飯森先生とお互いに考えて選びました。実は、グリーグは今回初めて演奏します。ですから、地元の来慣れたホールでこの曲を演奏できるのがとても楽しみです。
―聴きどころはどんなところでしょう?
グリーグはノルウェー独自の音楽を切り開いた作曲家です。ドイツの留学から戻った後、そこで得た知識と経験を活かし、ノルウェーの音楽を花開かせました。
協奏曲の第3楽章は、民俗音楽が底流をなす豊かな楽想が印象的で、ノルウェーの雄大な自然を感じられます。グリーグの協奏曲は本当に華麗で、普段クラシックを聴かない人も引き込まれる楽曲だと思っています。
実は、今年6月にグリーグの故郷、ノルウェーに行ってきました。湖や山などの自然に囲まれた、とても素敵な国でした。湖のほとりにあるグリーグの作曲小屋などにも足を運びまして。作曲家が、かつて見た景色、空気を感じ、音楽の解釈に深みが生まれました。音楽が見えるようになったというか、腑に落ちたというか、納得したというか…。この経験を基に、当日どのように演奏するか、私なりに考えていきたいと思っています。

―古海さんが思うピアノという楽器の魅力とは
ピアノって音を出しながら何かすることってできないじゃないですか。例えば、弦楽器は音を維持できますよね。でも、ピアノから一度出た音は減衰するしかない。消えていく音。私はそこに美学があると思っています。減衰するからこそ聴こうとしますし、描けるもの、空気感があると思っています。そこが魅力的ですね。ダイナミックレンジの幅も大きいですし。ピアノの持つ人を惹きこむ力に、私も魅せられているんだと思います(笑)
―好きなピアニストは?
うーん…!たくさん居て迷います!
最近だと、シューベルトを弾いていたので、内田光子さんはよく聴いています。
あとは、同世代のアーティストのコンサートはよく聴きに行きます。今は音源でも気軽に音楽を聴くことができますが、やはり生の音を聴きに行くことを大切にしています。
―弾いている時に心がけていること
演奏家の役割は、作曲家が描いた楽譜を音で表すことだと思っています。ですから、書かれたことに忠実に再現できるのか、作曲家の意図した本質を捉えることができるのかが大事だと思います。作曲家ごとに音楽の意味があり、その意味を自分で考えることが必要ですね。その上で、自然に滲み出てくるのが個性だと思いますし、その人その人によって生まれもった音色があると感じています。
―これからキャリアを積んでゆくと思うが、どのようなピアニストになりたいか。
音楽の魅力をそのまま伝えられる演奏家になりたいです。各国の文化を色濃く勉強して、もっと自分の技術を高めて、一般の方にも伝わるような、裾野の広い演奏家になれればと思います。ひいては地元での企画に繋がれば、とても嬉しいです。

グリーンホール開館35周年記念 日本フィルハーモニー交響楽団 第26回相模原定期演奏会
2025年11月8日(土)14:00開演
相模女子大学グリーンホール・大ホール
【全席指定】S席:6,500円 A席:5,500円
【ウェルカムチケット(おやこ券)】大人1枚+子ども1枚:6,500円 ※S席のみ
【学生券(25歳以下)】各席種の半額 ※定期セット券を除く
【車椅子席】5,500円
指揮/飯森範親
ピアノ/古海行子*
[曲目]
グリーグ:ピアノ協奏曲*
ドヴォルジャーク:交響曲第9番《新世界より》