日本フィルハーモニー交響楽団

オーケストラは何十人もの演奏者によって
構成されていますが、個性豊かな人々の集まりでもあります。
このページでは、団員のお一人お一人を
クローズ・アップしながらお気に入りの
オーケストラ作品をご紹介します。

扇谷 泰朋
パート
ソロ・コンサートマスター(ヴァイオリン)
お気に入りの作品
シューマン
交響曲 第2番 ハ長調 作品61
オススメポイント
作曲家としてだけではなく、批評家としても活躍していたシューマン。ブラームスの作品を聴いて「諸君、天才だ。帽子を脱ぎたまえ」といったことも有名です。シューマンの魅力はなんといっても、作曲家の心の移り変わりというか、そのアンバランス感にあります。第 2 番は、第 3 番や第 4 番に比べる とあまり演奏されない曲ですが、最もシューマンらしい曲です。
平塚 美

(2015年2月退団)

パート
クラリネット
お気に入りの作品
ラフマニノフ
交響曲 第2番
オススメポイント
ラフマニノフが結婚・長女誕生・次女誕生...と充実した時間を送っていた時期だったからなのかもしれませんが、全曲通して 「愛」を感じるところが大好きです。そして 3 楽章で、その純粋で真っ直ぐな愛をクラリネットに奏でさせてくれるのは、ク ラリネット奏者冥利に尽きます。
日橋 辰

(2015年2月退団)

パート
ホルン首席
お気に入りの作品
ワーグナー
ジークフリート牧歌
オススメポイント
1870 年 12 月 25 日、妻コジマ・ワーグナーへの誕生日の贈り物として作曲されました。初演はもちろん自宅。事前にその存在を知らされていなかったコジマは、甚く感激したそうです。ジークフリートとは、前年に誕生した息子の名前で、この作品 は、産んでくれたコジマにねぎらいと感謝を示す音楽でもあったといいます。なんとも素敵なお話ですね。
松井 久子
パート
ハープ
お気に入りの作品
マーラー
交響曲第 5 番 嬰ハ短調
オススメポイント
第 4 楽章“アダージェット”がヴィスコンティの映画「ベニス に死す」で使われたことでも知られている作品。マーラーの作品の魅力はとてつもないスケールの大きさ、時には狂気を感じながらも旋律の美しさには身を委ねたくなります。とりわけこの第 5 番は、マーラーの生涯で最も幸せだった時期に書かれていて、全体を通して彼の人生を見るような感情の深く激しい変化を感じますが、その中でも弦楽器とハープで紡がれる“アダー ジェット”は、妻アルマへの溢れるような愛情に満ちていて、演奏する度にいつも幸せを感じます。
小池 拓
パート
ヴィオラ
お気に入りの作品
メンデルスゾーン
交響曲 第3番 《スコットランド》
オススメポイント
有名なヴァイオリン協奏曲の旋律も大変美しいですが、この曲にもメンデルスゾーン独特の憂いのある素晴らしい旋律がたくさん出てきます。とりわけ第1楽章の冒頭のメロディはオーボエとヴィオラによって奏でられますが、絶品です!(ヴィオラ奏者でなくても引き込まれると思います…)第3楽章の旋律も、とても引き込まれます。
藤原 功次郎
パート
トロンボーン
お気に入りの作品
マーラー
交響曲 第5番
オススメポイント
この曲は、僕がはじめてウィーン交響楽団で演奏した思い出のある曲です。マーラーが20歳も若いアルマと結婚し、さまざまな芸術家とつきあいを始めた頃、まさにマーラーの絶頂期に書かれた交響曲だと一般的には言われていますが、僕はこの曲を苦悩の交響曲だと考えます。それは、第1楽章がいきなり「葬送行進曲」で始まるという発想からです。神の楽器といわれるトロンボーン・パートが、この葬送行進曲のリズムを恐ろしくも美しく演奏しています。マーラーにとってこの結婚が苦悩の始まりだったのではないのでしょうか。第5楽章までに及ぶ長い苦悩の末の勝利に至るドラマを感じて聴いていただきたいです。