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sagamihara culture foundation. 相模原市民文化財団

トピックス

《速 報》鈴木ユキオ氏 インタビュー

ミウィ橋本・5階にあるインナーガーデンを会場にした
相模原オリジナルダンス公演の出演者を募集しています。
振付・演出の鈴木ユキオ氏に、募集や公演に向けたお話を伺いました。

鈴木ユキオ_インタビュー鈴木ユキオ氏/財団

今回、「インナーガーデン」という場所を会場に、オーディションで出演者を募って上演する相模原のオリジナル作品を振付・演出していただきます。
鈴木ユキオさんには、2012年にも、ここインナーガーデンで作品を上演していただいています(ゆるゆる愉快なダンスワークショップ+30min公演)。その際は、経験不問で募った参加者と、5日間のワークショップを経て上演する、というものでした。
その時の感想を含めて、まずは率直な、「インナーガーデン」のイメージや印象を教えてください。

6年前初めて訪れたこの場所は、ひとつの建物の中に、いろいろな施設がある開放的なスペースで気持ちよい空間だなと思ったことを覚えています。図書館の前で勉強をしている学生がいて、ベンチで休んでいるおじいさんがいて、レストランに向かう楽しそうな親子がいる。それと同じように、この場所を楽しむ一人として、気持ちよく体を動かして踊れればいいなと思い、パフォーマンスに挑みました。年齢も経験もバラバラな人たちが参加してくれて、とてもいいダンスになったと思います。 劇場で観るのとは一味違う魅力や、「今から何が起こるんだろう」というドキドキするような刺激を感じてもらっていたら嬉しいですね。
ユキオさんはいたるところで、それこそ世界各地で作品を上演されていますが、それぞれの場所に、その土地が持つ風土や気温、湿度があると思います。振付を考える際、その場所にしかない空気に影響を受けることはあるのでしょうか。

もちろんたくさんの影響を受けていると思います。ギャラリーや野外の商店街、魚市場や噴水広場、廃線になった線路で踊ったこともありました。日常と非日常が交錯する瞬間を切り取るような作業は、とてもワクワクしますね。ダンサーの体をオブジェのように、その空間に配置し、動きを与えることで、これまで止まっていた空間が動きだす、空間に時間を与えるような作業だと思います。
僕のダンスは、「正しい形を守るダンス」ではなく、ダンサーの感覚や意識を大切にしています。決められた振付をどういう感覚で、どれだけ実感を持って踊れるか。それを実現するためには、独りよがりの踊り方ではいけません。場所の空気や、足の裏から伝わる大地の感触、共に踊る仲間の呼吸や、お客さんの視線や緊張感を体で感じ、自分のダンスと一体になった時、形が生まれてくるものだと思っています。もちろん、それは劇場空間でも変わりはありませんが、劇場以外の場所だと、その要素はさらに増すと思いますね。
それから、僕は「ハプニング」が大好きなので(笑)、外で踊るのは個人的にとても好きなんです。いい踊りをしている時は、すべての出来事がとてもいいアクセントになってくれる。絶妙なタイミングで、轟音を出しながら電車が通ったり、雨が降り始めたり、子供が一緒に踊り始めたり……。予測できない演出です。でも、不思議なことに、それもいい踊りをしている時にしか起こらないのですけどね。
いわゆる「舞台」とは異なる場所で作品をつくるときに、大切にしている考え方はありますか。
場所にとらわれずに、どの場所でも共通する考え方やイメージはありますか。

矛盾するかもしれませんが、とにかく「自分の踊り、身体、感覚に集中すること」これに尽きます。決して閉じこもるという意味ではなく、自分に集中することで、視野は無限に広がっていくと思うのです。身体の内側に宇宙が広がっているかもしれないし、宇宙は自分の手の中にあるかもしれない。ダンサーにはよく言っていますが、いつも両極を意識することを大切にしています。内と外、上と下、強さとしなやかさ、すべては繋がっている。そう意識するだけで、踊りは何倍にも深く強くなっていくと思っています。
鈴木ユキオ_インタビュー02 相模原は、特に今回の会場は、特筆するなにか特徴的なものがあるわけではありません。
日常生活に違和感なく寄り添っている、「どこにでもあるような場所」です。
それでも、天井が高い吹き抜け空間や大きな窓から見える景色に、ほっとしたり、少し感動したり、ぼーっとしたりできる「特別な場所」にもなります。
これからのオーディションにより、新しいダンサーとの出会いがあります。
彼らとダンスをつくる中で、インナーガーデンを、このような空間にしたい、などのイメージや期待はありますか。

たったひとつの身体、いつもと違う音や照明、そういうささやかな仕掛けで、いつもとは少し違う空間の見え方、感じ方をしてもらえるような、そんなパフォーマンスができたらと思っています。そして、何より、身体の持つエネルギーを間近で感じてもらえたら。誰もが持っている身体ですが、一つとして同じものはなく、そこに存在するだけで、とても強いエネルギーを放っている。その美しさと強さ、儚さやたくましさを形にできたらと思っています。
今回の相模原公演で、メンバーをオーディションで募集しようと考えたきっかけや理由を教えてください。

今回、「カンパニー作品を」とご依頼を受けたのですが、せっかくここ橋本で制作・発表するので、この場所にも興味がある新しいメンバーと共に挑戦してみたいと思いました。ここ数年、コアメンバーを中心に、プロジェクトごとにいろいろなダンサーに参加してもらう形式をとって活動をしています。もちろん幾つかの活動を通して、その後コアメンバーに入ってもらうダンサーも出てきていますし、風通し良く、お互い刺激をもらいながら、ダンスシーン全体が動いていけばいいなと思っています。相模原には、大学やグループ、劇場や施設も多くあると聞いています。ぜひ、ここだからできる表現を一緒に探す仲間に出会えたらと思っています。
「オーディションメンバーとだからできるダンス」とはどのようなダンスか、考えやイメージがありますか。

作品に出てもらうと決まったら、コアメンバーもオーディションメンバーも差はありません。一緒に考え、身体とじっくり向かいあい、常に自分にとって「踊る」ことを新鮮に感じ続けるために、時間をかけて考え方や感覚をシェアしていきます。もちろん、たくさんの経験を共にしてきているメンバーとは違い、時間もかかるし、少し遠回りをする必要があるかもしれません。でも、すべてのプロセスに無駄はないと思っています。僕自身も彼らから気づかされることも多いですし、一緒に挑戦していきたいと思っています。
今回のオーディションでは、どのような方の応募を期待されていますか。

僕の振付は意外に細かく、ダンサーたちからは「正解がわからないゴールを、常に探しながら踊っている感じ」と言われます(笑)。よくあるダンスとは少し違うかもしれない。でも、その人にしか出来得ないダンスを一緒に探したいと思っています。ぜひこの途方もない旅を、一緒に楽しんでもらえる方に出会いたいと思っています。この素晴らしいプロジェクトの共犯者になりましょう!
鈴木ユキオさん、ありがとうございました!
少しでも興味を持った方、ぜひご応募ください。

募集のチラシはこちら